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Member07

大好きな海の仕事に従事する喜び。
目指すはアコヤ貝の
「採苗」のスペシャリスト

国内養殖部門
K.Kさん
2019年入社 東京海洋大学海洋科学部海洋環境学科
大月真珠の人

Interview

貝のスーパーエリートを育てる
「採苗」の仕事

大月真珠の養殖部門の仕事は、大きく「養殖」「採苗」の仕事に分かれます。養殖はまさに真珠をつくる仕事。貝に「挿核手術」を施して「核」と「ピース」を入れると、生物のメカニズムによって貝の中で真珠ができあがります。「採苗」は、そうした養殖に用いる貝を一から生み出す仕事です。ピースを取り出す「細胞貝」と、核とピースを入れて真珠をつくる「母貝」を品種改良しながら育てていきます。

私は「採苗」部門を担当しています。ここ賢島の採苗部門では現在3万匹ほどのアコヤ貝を管理しています。代々品種改良を重ねてきたさまざまな品種の中からその年の海の状態などにあったものを選び、育てます。

その過程は「貝のスーパーエリートを選抜する」ような作業です。まず無作為に選んだ1,000匹の中から大きさ、厚みの良いものを絞り込み、雌雄の判別を行った後50匹を残します。快適な水温の中、エサをたっぷり与えて卵と精子をたくさんもたせ、更に病気などをチェックし、最も健康な5匹ずつの雌雄をかけ合わせます。すると、メス1匹あたり約2千万の卵が採れ、受精後は稚貝を育成しつつさらに10分の1ほどに選抜し、成長具合の良い貝だけを出荷します。

「尋常ではない」気遣い

その後は自社の養殖場や、全国の養殖業者に出荷するまで、2か月間ほど水槽で育てます。貝の赤ちゃんはものすごくデリケートで、大量死の原因になる海水の汚れ、菌の混入、カビの発生には神経を使っています。

エサやりについても、あげすぎると食べ残しによって水が濁り、少なすぎると成長に影響してしまいます。エサとなるプランクトンのサンプルを採取し、1mlあたりの海水に何匹のプランクトンがいるかを顕微鏡で確認するという作業を、エサやりのたびに行っています。

「気の使い方が尋常ではない」といわれることもあるのですが、この工程にブレがあると、お客様への信用に関わります。出荷した後に「成長が良くない」「小さい」などといわれても、貝は工業製品ではないので、代品をすぐに送るというわけにもいきません。ですから日々の作業は決して手を抜けませんし、出荷後もアンテナを張って、成長度合いを確かめるようにしています。

やっぱり海の仕事がしたい

もともとはヤドカリやエビ、カニといった海の生き物が好きで、大学は海洋科学部で軟体動物の研究室に所属していました。大月真珠に入社し、加工部で2年ほどすごした時、欠員が出たため養殖の採苗部門で働いてみないかと声がかかりました。入社後の研修で養殖部門の仕事を経験したことがあるのですが、そのときの印象から果たして自分に務まるのか、自信がもてない部分もありました。しかし、入社前から養殖の仕事に魅力を感じていたこともあり、もう一度経験できる機会をもらい判断することになりました。

そのときは養殖の現場が最も忙しい時期に入っていましたので、何もわからないままハードワークをする環境に放り込まれた感じでしたが(笑)、やってみると「やっぱり自分には海の仕事が向いている」と思えるようになり、養殖部門に移ることを決意しました。

養殖は真珠産業の根幹ですから、良い貝をつくって高い評価を得ることはもちろんですが、仕事に慣れるにつれて「もっと良くする方法はないのか?」と考えるようになりました。生物が相手であり、また海は赤潮や雨による水温の変化など、人間ではコントロールできないことがたくさんあります。その分経験、勘が重視される世界なのですが、私は少しずつでも統計や科学的な手法を取り入れ、客観的な裏付けをもたせることで、より安定した仕事ができると思っています。例えば水温、エサの量、貝の密度はどういうバランスがベストなのか。論文や研究書なども参考にしながら、日々試行錯誤しています。

養殖仕事
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