品質別選別の匠
真珠は貝の体内で育まれる宝石である。そのため、真珠を形成する過程で、真珠層が汚れや不純物を巻き込んだり、本来の輝きを失ったりすることがある。大月真珠では、真珠を磨く技術や真珠層の中に入った不純物を取り除く技術など、真珠本来の美しさを追求し、品質が変化しないようにするための独自の技術開発を行っている。
用途別選別、穴明けを経た真珠は、上記の加工処理を施し、本来の美しさを湛え、それぞれの用途によりさらに細かく選別される。その用途とは、ひとつはネックレス用に貫通した穴を明けた真珠の選別を行う工程。そしてもうひとつは、片穴選別と呼ばれる、リングやピアス等に使われる、片側だけに穴を明けた真珠ルースの選別を行う工程である。
ネックレス用の真珠
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○ 品質別選別工程 ○
大月真珠では大量の原料珠を仕入れることで、形を揃える、キズを揃える、巻き(真珠層の厚さ)を揃える、色を揃える、テリ(光沢)を揃えるといった細かな選別を可能にしている。それにより、20種類以上のスタンダードグレードを確立している。
複雑な選別・加工工程の中盤に位置する品質別選別を取り仕切る新宮浩志は、この道30年の経験を誇る選別のプロフェッショナルである。新宮の卓越した技術は、選別する真珠のロットの内容に左右されない、絶対的な基準に基づいて選別する眼、選別眼を持っていることを特徴とする。
用途別選別の工程でネックレス用に選別された真珠は、品質別選別工程で特に形とキズに特化して、さらに細かく選別される。この工程での一人当たりの一日の作業量は、7ミリの珠で800匁(もんめ=真珠に使われる重さの単位。約3kg、5,400個)になる。さらに見直しも2回以上行うので、実際の作業量はその2~3倍にもなるという。
「品質を変えないこと、品質の安定した製品を供給することが顧客の信頼感へとつながっています。」と新宮は語る。
品質別選別の様子
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グレード分けした真珠
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○ 認識を合わせる ○
真珠の選別は自然光の下、人の目と手によって行われる。真珠は人と同じようにひと粒ひと粒がみな個性を持っている。天候の変化など、少しの光の具合によって表情や印象が変わったように見えてしまう場合もあるが、それに左右されず、あくまで真珠本来の色やテリなどの品質を見極めることが重要となる。
選別工程は複数のメンバーでの作業となるので、メンバー一人ひとりの選別基準の目線や理解を平準化することが重要なポイントとなる。どのラインまで選別をするのか、作業量と時間、さらには次の選別工程まで考えて作業を進めなければいけない。自分の意向を伝えるために、言葉だけでなく、サンプルを見せたり、表現を変えてみたり、時には絵を描いたり・・・。マニュアル書では表現できない経験に裏付けられた品質維持の選別眼が重要な世界である。
自然光の下での作業
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選別サンプル
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他部門との連携
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○ 品質を守る ○
それぞれの工程で真珠の品質を見極め、次の工程、さらに次の工程と段階を踏んで選別を重ねることで、細かく品質の揃った美しい素材に仕上がる。
「真珠は分ければ分けるほどどこまでも分かれていく」と語る新宮。例えば研修などで、経験の浅い社員が指導によって、できるところまで選別した真珠であっても、新宮などベテランならさらに細分化した選別ができることもよくあるという。その域に達するのは、日々の選別経験の蓄積とその努力の積み重ねによるところが大きい。「安定した品質の製品を供給する。その努力を企業全体で続けていることが大月真珠の強さです。」そう語る新宮を始め、匠たちによって選別技術は支えられている。
美しく揃った真珠
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(次回は、連組みの匠を掲載します)