1. TOP
  2. 大月の匠
  3. 用途別選別の匠

用途別選別の匠

三重県、愛媛県、長崎県などの九州各県で、冬の時期に浜揚げされた真珠は、入札会などを通して仕入れられ、自社養殖場の真珠とともに、神戸の本社に集められる。その量は、近年では日本の生産量全体の40%を上回る。

用途別選別の様子

九州地区の仕入れチームにも所属している小林正秀は、毎年、12月から2月頃まで続く長丁場の仕入れという大仕事が終わった後、3月からは休む間もなく、この膨大な量の真珠を用途別に選別するという神戸での多忙な日々が待っている。

用途別選別とは、真珠をその真珠が持っている特性の違いによって、リング、イヤリングなどで使用するルース用やネックレス用などの用途別に選別する工程。浜揚げされた真珠の最初の工程であり、ここでのミスはその後の各工程でのロスを生む原因となるため、極めて責任の重い工程だ。


ひと粒ずつ見極める

選別の仕方にもよるが色、テリを分けるのであれば約5貫(貫:真珠の重さを量る時に用いられる単位。1貫は約3.75㎏)、キズを分けるのであれば約1.5貫の真珠を1日にこなすという小林。「真珠は、ひと粒ひと粒はよく似ていますが、同じものはひとつとしてありません。それぞれの珠の個性に合わせた選別を行うよう心掛けています。」と語る。

国内の養殖場はもとよりインドネシアでの南洋真珠の挿核手術を担当したこともあるため、養殖現場での経験が豊富で、浜揚げされた真珠に対する思いも人一倍強い。周囲を和ませる雰囲気を醸し出しながら、周りのスタッフを時にはうまく乗せながら、この責任の重い選別にあたらせる。「その真珠がどうなれば、その真珠にとって、またそれを手にする人にとっても一番良いか」を一番に考えているという小林は、真珠の美しさを最大限に引き出すポイントを心得た匠の技を持っている。

○ 用途別選別までの流れ ○

浜揚げ後の仕入れられた真珠は、各産地ごとに同質のもので集め、洗浄処理を行い、0.5ミリ単位までサイズ分けされる。サイズ分けされた真珠は、さらに形、キズ、巻き(真珠層の厚さ)、色、テリ(光沢)の各要素によって用途別に選別されていく。その後、様々な選別工程でさらに細分化される。

浜揚げ後の真珠

洗浄工程

サイズ分け工程

○ 選別のポイント ○

真珠は、見る場所や時間帯によって見え方が微妙に変化する。真珠の繊細な輝きを見極めるには、北向きの柔らかい日差しが必要不可欠。しかも、太陽光の光量に左右されず、常に同品質を守ることも求められる。曇りや雨で日差しが少ない時にも、その時々に適した選別方法を行う必要がある。ここで大切なのは、チーム全員で常に安定した基準で選別を行うこと。方向性をひとつにまとめて仕事を進め、どのような条件下でも常に同じ選別基準を維持することがポイントとなる。

真珠選別の基礎を学ぶには最低三年はかかると言われる。また、真珠選別は、何十年というキャリアを積んでも極めることのできない奥の深い世界である。

選別を待つ真珠

選別指導する小林

選別後は次の工程へ

○ 真珠の個性を活かす ○

真珠の繊細な輝きは機械では判別できない。また、真珠はひと粒ひと粒が違うため、真珠の品質には、ダイヤモンドのような世界共通の基準はない。したがって選別は、人の目によって行われ、大月真珠では業界で最も細かいと言われる独自の品質基準に基づいて厳格に行われている。真珠は、自然光の中で、職人たちの厳しい目でひと粒ずつ選別されることにより、さらに神秘的な美しさを増すのである。

(次は、穴明けの匠です)

▲ページTOPへ